徳島県で今起きていることを見てきました 神山町の3つの魅力編。

神山町といえば、前回の記事にも書いた徳島県全体の高速回線インフラををベースに、都心からのサテライトオフィス誘致などに成功して地方創生の成功例と言われています。

また、IT系企業だけでなく、面白い人がどんどん集まって新しいことが生まれているという噂をよく耳にするので、自分の目と耳で確かめてきました。

神山町の魅力 その1: 里山の豊かな自然の恩恵を受けながら暮らし、働くことができる

徳島県と言っても瀬戸内海沿いのエリア、太平洋沿いのエリア、西側のエリアなど色々なところがありますが、神山町は徳島市内からクルマで1時間弱でアクセスできるところにありながら、いわゆる里山エリアでその自然を満喫することができます。

宿泊したWEEK神山の部屋からの眺め。山にかかる霧が美しい。

WEEKからクルマで少し連れていっていただくと、もうそこには至るところにキレイな川があり、夏はBBQや水浴びも楽しめるそうです。

「こんなところで仕事できたらいいな」という妄想を形にしたような、「森のオフィス」。ただ木々の中にデッキをつくるだけでなく、元々生えている木々を活かして、デッキの床から木が生えたようになっているのがかわいらしい。

ちゃんと電源もとれます(笑。

そして、圧倒された「凍る滝」、「神通の滝」。このすごい水量と高さの滝が、冬の寒さで凍るそうです。行った時はまだ暖かく周辺のつららが凍っているだけでしたが、それでも凄まじい迫力でした。市街地からクルマで少し行って山に分け入ったところにこういう場所があるのは、まさに里山ならではですね。リフレッシュのために朝早い時間にここに来て朝食を食べてコーヒーを飲んで、ということもあるそうで、都心ではありえない贅沢な時間の使い方です。

滝の音しか聞こえない、外界から閉ざされた空間で、流れ落ちる水を見ながら考えていると、自分の頭の中が整理されていきます。

神山町の魅力 その2: 積み重なった人々の歴史や文化が感じられ、きちんと現在に繋がっている

自然だけでなく、文化や歴史が「手に触れられるようにそこに在る」感じが町の中にありました。

例えば、宿泊したWEEK神山。

外観や部屋は現代的なミニマルなデザインでまとまっています。

実は古くからある建物とスペースを活かしてつくった宿泊施設とのこと。

宿泊者同士や地元の方と食事ができるラウンジ棟で徳島名物の半田そうめんの朝食。泊まった時は他の宿泊者の方とはお会いできなかったのですが、暖炉を掃除しているスタッフの方と朝食をとりながらゆっくりお話ができて、なんだか絵本の世界に入ったような錯覚に陥りました(笑)

例えば、古くからある劇場「寄井座」。昔は町民にとっての娯楽の場所で、天井を見上げると今のセンスで見てもグラフィック的にかっこいいローカルな広告がびっしり並んでいました。みんながここで楽しんだ記憶のようなものが空間に蓄積しています。これがただ保存されているだけでなく、今でも映画イベントやアーティスト・イン・レジデンスの発表の場として使われているとのことで、この建物も現在に生きています。

例えば、有名なピザ屋さん yusan pizza (参考リンク)。地元の食材を使ったピザがめちゃくちゃ美味しかったのですが、元からある建物を活かした空間もすごく素敵でした。築100年の古民家を活かした空間で、外観は「ここが本当にピザ屋なのかな・・・」と不安になるくらいの建物なのですが、中は現代的なセンスでとても居心地が良いピザ屋さんでした。ここでも古いものと現代的なものが同居しています。

ご好意で寄せていただいたサテライトオフィスで見せていただいた、現地での古い写真。こういった古い文化をアーカイブ化していくプロジェクトもあるそうで、放っておくとなくなっていくローカルな文化を新しい世代の方が残していくという動きが起きているのが、すごく素敵だなと思いました。

こういった歴史や文化が現在につながっている場所で、WEEK神山の向かいには現代的なコワーキングスペース&サテライトオフィスがあり、その中には3Dプリンターなどの最新機器もある。ちょうど訪れた時には四国電力さんが研修をされていて、いわゆる独立系ベンチャーだけでなく、地元の大企業も使えるというのも良いなと。

ちなみに、こういう先進的な建物が建っているエリアですが、近くに農家さんが住んでらっしゃるので、宿泊した朝はニワトリの鳴き声で目が覚めました。なんというヘルシーな働き方。都会と全く違う環境ながら、都会と同じ仕事ができる。すごく面白い場所だなと思いました。

神山町の魅力 その3: 町にDYIの精神が息づいている

3番目になってしまいましたが、個人的にはこのポイントが一番この町をうまく形容できる気がしています。

自分たちの暮らしは、自分たちでつくる。自分たちの仕事は、自分たちでつくる。本来は当たり前のことなのに、でも実行するのは極めて難しいことが、ここでは行われています。

元々林業が盛んだったこともあるのか、特に「住まう」ということについての意識のハードルが低いように感じました。木があるんだから、技術さえあれば家がつくれる。古い民家も、なおせば住める。そして、そのことが暮らしていく上でふつうは一番コストがかかる「住居費」を圧縮できるので、生活の余裕につながります。

住居ではないですが、今回お世話になった(株)モノサスさんのサテライトオフィスもまさにDYI。写真は見学させていただいた際の2F部分で、内部はすごく現代的なデザインですが、古い建物を活用しています。(サテライトオフィスができるまでのDYIな過程はこちら、そもそも神山町にサテライトオフィスをつくるきっかけなどはこちらから)

別の場所にある、今後つくられる予定の社員寮。これを地元の大工さんの力を借りながら、でも自分たちでできることはやりながら直していくそうです。

改装予定の古民家にあった窯。見ていただいてわかるように、ちょっとやそっとの古さではありませんが、実はこれは次回の記事に関連しています。

神山町に行ったことがある人の中では有名な自転車カフェ cafe BROMPTON DEPO (今回は時間的に外から見るだけでした)も、元々オーナーは林業関連の方で、定年後にご自分でつくられたそうです。さらに町ではいま100万円で自分の家をつくれるようになろう、という動きも始まっているとのことでした。

そして極めつけは、今回ご案内いただいた(株)フードハブプロジェクト 農園係/DIY係の渡邉さんの住まい方、暮らし方でした。

寄せていただいたお家は高台の上にあり、この素晴らしい見晴らし。知人の方のお家の「納屋」部分を改装して住んでらっしゃるそうで、ご自分でホームセンターで断熱材などを買って来てつくったお家とのこと。しばらくガスも来てなかったため、七輪が唯一の熱源だったそうです。すごいサバイバル生活(笑。

この絶景を見ながら、早朝にご飯の支度をする煙が家々から立ち上るのを見ながらコーヒーを飲むのが最高に美しいそうです。さらにリノベーション予定の古民家から出てきた五右衛門風呂を使って、露天風呂をつくりたいとのこと。すごいDYI精神。

渡邉さんがおっしゃっていた、「例えば薪ストーブというと都心だとお金持ちが別荘に置く趣味みたいに思われているけど、実際にはストーブを数万円で買ってくれば、あとは自分で設置できるし、本当はそんなおおげさなものじゃない」という言葉は、本当にその通りだと思いました。

僕らはどうしても「薪ストーブを設置したい」と思った時、まず最初に「どこの業者に工事を頼むか」「いくらかかるのか」ということを考えます。最初から「持ってる予算の中でなるべく良いものを選んで」「買う」ということしか頭になく、「自分でやる」という選択肢がありません。薪ストーブや家をつくるのもそうなら、遊びだって「どんな遊びが提供されているところに行くか」ということは考えますが、「どうやって自分たちで遊ぶか」ということを考えていません。神山町では山があって川があって、自分たちで考えさえすれば、お金をかけずに遊ぶことができる。

「いまみんなで山の中に大人の秘密基地を【つくろう】としてるんですよ」という渡邉さんの言葉に、素直にうらやましいと思ってしまいました。本当はみんなができるはずなのに、いつの間にかそんなことはできないと思わされてしまっていること。

いたずらに都会の批判をするつもりは全くありませんが、都会はお金を稼いで、そのお金で買える一番良い何かを選んで、お金を使う、その繰り返しだなと、ここに来て思いました。

「地方創生の成功例」と言うと、外から何かを持ってくる、または外に何かを発信することで成立しているように思ってしまいがちですが、ここでは「自分の暮らしを、自分で面白くする」という精神が、地元の方にも、移住してきた方にも、あるように感じました。そして、それに惹かれて、「町が自分に何かをしてくれる」ことを求める人ではなく、「町で自分で何かをしたい人」が集まって、いまどんどんおもしろくなってきているのではないかと思いました。

次の記事は、そんな中でも個人的に一番面白いと思ったプロジェクト、 Food Hub Project についてです。次記事を読む。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA